オリンピックの金メダルを噛んだら歯形がつく?

オリンピックの表彰台で、金メダルを獲得したアスリートが嬉しそうにメダルを噛む(かむ)ポーズをとる姿。
ニュースやテレビ番組で一度は目にしたことがある定番の光景ですが、「なぜ選手たちはメダルを噛むのだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?
「金が本物かどうか確かめるため?」「昔からの伝統?」など諸説ありますが、実はそこにはメディアや歴史、そして金属の性質にまつわる面白い理由が存在します。今回はメダル製造メーカーである弊社の視点も交えながら、メダルを噛むポーズの由来と真実について徹底解説します!

1. メダルを噛む最大の理由は「報道カメラマンのリクエスト」

結論から言うと、現代のアスリートたちがメダルを噛むポーズをとる一番の理由は、**「報道陣(カメラマン)からの要望に応えているから」**です。

表彰式が終わった後のフラッシュインタビューや写真撮影の場では、世界中から集まった大勢のフォトグラファーが「もっと印象的な写真を撮りたい!」と選手にポーズを求めます。

単に首からメダルを下げて微笑んでいる写真よりも、メダルを口元に寄せて噛むような動作をする方が、選手の表情に動きが出てドラマチックな写真に仕上がります。過去の大会で噛むポーズの写真が新聞の1面やスポーツ誌の表紙を大きく飾ったことをきっかけに、カメラマンが「噛んで!」と指示を出し、それがすっかり表彰台の定番ポーズとして定着したと言われています。

2. 「金が本物か確かめる」という歴史的な由来とは?

カメラマンのリクエスト以外にも、歴史的なルーツとして有名でよく語られるのが**「ゴールドラッシュ時代の商人や鉱夫が、金が本物かどうか確かめるために噛んでいた」**という説です。

19世紀のアメリカなどで起きたゴールドラッシュの時代、人々は手に入れた金塊や金貨が本物の金(Au)なのか、あるいは偽物の黄鉄鉱(パイライト)や鉛に金メッキを施したものなのかを見極める必要がありました。

金属としての性質上、「純金(24金)」は非常に柔らかい金属です。本物の純金であれば、歯で強く噛むと表面にうっすらと「歯型(咬痕)」が残ります。一方、硬い鉄や真鍮などの偽物は噛んでも歯型がつきません。このように、「柔らかさを使って本物かどうかテストしていた昔の風習」が、巡り巡ってメダルを噛むイメージのルーツになっているという説です。

3. メダル製造メーカー視点:実際に噛むとどうなる?傷つく?

ここで気になるのが、**「今のオリンピックの金メダルを噛んだら、本当に歯型がつくのか?」**という点です。

メダル製造に携わる弊社の視点からお答えすると、「歯型はつきにくいが、表面に傷がついたり歯を痛めたりするリスクがあるのでおすすめできない」というのが結論です。

現在の金メダルは「銀ベース」で硬い

以前の記事でも解説した通り、オリンピック憲章の規定により、現在の金メダルは純金100%ではなく「純度92.5%以上の銀(スターリングシルバー)」を主成分とし、その表面に「6g以上の純金」をコーティングして作られています。

土台となっている銀は純金に比べて一定の硬度があるため、人間が歯で噛んだ程度ではそう簡単には凹みません。しかし、力を込めて噛むと表面の繊細な金コーティング層に細かな引っかき傷がついたり、最悪の場合は大切な歯を痛めてしまったりする恐れがあります。

※オリンピックの金メダルの詳しい素材や憲章の規定については、「オリンピックの金メダルは純金?メダル素材の真実と憲章のルール」の記事をご参照ください。

4. 大会組織委員会や公式公式アカウントからの注意喚起も?

近年のオリンピック・パラリンピック大会では、大会組織委員会や国際オリンピック委員会(IOC)の公式SNSが、お茶目な文脈を交えつつ**「メダルを噛まないでね!」**と発信して話題になったことがあります。

例えば東京2020大会の際にも、公式Twitter(現X)アカウントが「メダルは噛まなくても大丈夫ですよ!素材はリサイクル金属ですが、ちゃんと金メダルです」といったユーモア溢れる投稿を行い、多くのシェアを呼びました。

メダルに傷がつく心配だけでなく、多くの人の手を渡ってきたメダルの衛生面や、大切な歯の健康を守るという観点からも、公式としては「噛むマネ(ポーズ)」留めておくのが安心と言えます。

5. まとめ:メダルを噛むポーズに込められた喜びとロマン

  • 最大の理由は「報道カメラマンのポーズリクエスト」に応えるため
  • 歴史的ルーツは昔の商人が「金が柔らかい性質を利用して本物か噛んで確かめた」こと
  • 現代のメダルは銀ベースで硬いため、噛むとメダルの傷や歯の損傷リスクがある
  • 公式や組織委員会も「噛まないで」とユーモア交じりに呼びかけることがある

「なぜ噛むのか?」という疑問の背景には、カメラマンの演出という現代的な理由と、金の歴史や金属の性質というロマン溢れるストーリーの両方が存在していました。

次にオリンピックやスポーツ大会で選手がメダルを掲げる姿を見るときは、ぜひメダルの輝きや選手の表情、そしてこのエピソードを思い出してみてくださいね!


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